ヤマハから発売されていた ISDN ホームルータ。
YAMAHA ISDN TA/Remote Router NetVolante RTA50i
https://www.rtpro.yamaha.co.jp/archive/RTA50i/index.html
ISDN 回線を上流につないで使うことが前提のリモートルータなので、それなしでできることは限られる。
INS64 の新規受付終了は2024年8月末なので、記事を書いている2024年5月のいまでも開設はぎりぎりできるはず。どうしよう。
またダイヤルアップ接続を提供している ISP も検索するといくつか散見でき*1、P-MP 接続を提供しているというところもあるので、こうした ISP と契約してインターネットへのアクセスルータにすることはまだできそう。
ISDN 回線をすでに引いてある場合は、2028年末までは RTA50i をつかってダイヤルアップと電話機・FAX の発着信ができる。と思う。
こういうアダプタは使えるのだろうか?
LAN インタフェースが1つしかないので、現代のルータはもれなく装備しているような機能がなかったりする。常時接続時代に入る前の製品なのでしかたない。
シリアル端子は DCE*2 になっているので PC との接続には RS-232C ストレートケーブルが必要。ルータ設定に使うクロスケーブルは使用不可。
ボーレートは PC 側の設定に合わせてくれるようだ。
端末を立ち上げるとモデムとして動作し、AT command*3 というコマンド体系を受け付ける。`at&r` と打つと、いつものヤマハルータのコンフィグに入れる。
at # OK at&r # OK (Enter) # Password: (Type your password) # RTA50i Rev.3.03.29 (Thu Apr 1 22:11:19 1999) # Copyright (c) 1994-1999 Yamaha Corporation. # 00:a0:de:**:**:** # Memory 4Mbytes, 1LAN, 1BRI # >
? # ? account administrator analog pp isdn clear cold connect console date dhcp dis # connect dns exit help ip leased less login mail-check nat nslookup ntpdate pack # etdump ping ppp provider quit rdate remote restart save schedule security seria # l show syslog telnet tftp time timezone traceroute wins
シリアルポートでつながっている PC をシリアル経由で LAN に参加させる機能がある。
https://www.rtpro.yamaha.co.jp/archive/RT/FAQ/TA/rt-with-ta.html
https://www.rtpro.yamaha.co.jp/archive/RT/FAQ/TA/Pseudo-LAN.html
内部の動作のイメージは、TA 機能のモデム部から RTA50i 内の仮想のアクセスポイントにダイヤルアップし、張られる PPP の RTA50i 側の端点をルータ機能 (lan) に向けている感じのよう。
PPP の相手に IP アドレスを割り当てるには、RTA50i の DHCP サービスが起動している必要がある。
ただ、RTA50i は DHCP の on/off をインタフェースごとに制御することはできないので、たとえば LAN 内ですでにほかの DHCP サーバを運用しているとき、疑似 LAN 機能を使うために dhcp service server すると、余計な DHCPOFFER が LAN 内にブロードキャストされてしまう。
これは ip filter で lan から出て行く dhcps (67) をソースポートとするパケットを reject することで阻止できた。
ip filter 1 reject-nolog * * udp dhcps * ip filter 99 pass * * * * * ip lan secure filter out 1 99 dhcp service server dhcp scope 1 10.0.50.2-10.0.50.2/30
疑似 LAN 配下の PC と外の LAN やインターネットとの疎通は、PPP のサブネットを LAN と別にする場合はルーティングで、PPP のサブネットを LAN のアドレスの範囲に包含する場合は ARP プロキシでできる。
ルーティングは静的経路でもいいけれど、RIP が有効なら RTA50i が疑似 LAN の IP を RIP で広告してくれる。
LAN 内で RIP がうごいてないなら ARP プロキシがたぶんラク。NAT はできなさそう。
別サブネット + RIP で経路広告する場合
============= LAN 192.168.0.0/24 | +--------+ 192.168.0.160 | RTA50i + +--------+ 10.0.50.1 : : PPP : +-----+ 10.0.50.2 | P C + +-----+
ip lan address 192.168.0.160/24 ip lan secondary address 10.0.50.1/30 ip lan routing protocol rip2 dhcp service server dhcp scope 1 10.0.50.2-10.0.50.2/30
包含サブネット + ARP プロキシ
============= LAN 192.168.0.0/24 | +--------+ 192.168.0.160 | RTA50i + +--------+ : : PPP : +-----+ 192.168.0.161 | P C + +-----+
ip lan address 192.168.0.160/24 ip lan proxyarp on dhcp service server dhcp scope 1 192.168.0.161-192.168.0.167/24
通信速度は最大で 112.5Kbps で、阿部寛のホームページも快適に閲覧可能。
差動伝送が通信を支配する時代に自分の手で引いた不平衡線路でインターネットをするのはたのしい。
実験的な対応がされている (更新日の「2018/Nov/06」はおそらくサーバ移転日などだろう……)
あとでためす。
WS-ONE, IPv6 trial implementation for YAMAHA RT series
https://www.rtpro.yamaha.co.jp/RT/ipv6/ws-one.html